書評「グッバイ マイ フレンド」

 いきなりネタバレになるが,「グッバイ」は,転校や引っ越しではなく,この世からの「グッバイ」である。

グッバイ マイ フレンド

グッバイ マイ フレンド

 

 子どもたちにとって,死というものはどういうものなのか。どういうものとして受け止めていくのか。いろいろな子どもの視点を通じて,「マイ フレンド」の姿が浮き彫りになり,そして子どもなりの,“マイ フレンド”への“グッバイ”のしかた,“グッバイの”受け止め方がわかる。それはひとりとして同じではないという描写だ。

私にとって,死を初めて実感したのは中学2年のときの父方の祖父の死であった。祖母に対して複雑な感情を抱いていたのは一昨日書いたが,祖父に対してはそれほど強い感情はなく,“よくわからない人”だった。ただ,誕生日が私と同じであった。

危篤と言われて病院にかけつけ,間もなく他界した。そのときはそれほど実感しなかったが,(生々しい描写で申し訳ないが),葬儀のとき「最後のお別れです」と言われて棺桶の中,花にかざられた祖父を見た時,「祖父の姿をしているのに,これはもう物体であって,生きてはいない」というのを強烈に感じたのを覚えている。

もう1つネタバレすると,子どもたちは“マイ フレンド”の“グッバイ”を,先生から聞いたというかたちで知る。だから,棺桶の中の祖父を見た私と同じ受け止め方だったかどうかはわからないが。

子どもがこの世から“グッバイ”するのは,それがどんなかたちであれ,つらいものだが,それを真正面から取り上げた良い本でした。