研究者としてのこれから

6年前に博士号を取得したが,現在の自分の諸条件を考えると,アカデミックポストに就くこと,いわゆる研究・教育の常勤ポストについて安定した収入を得ることは,この先はかなり難しいというか無理だということを最近感じる。

近親者は,大学を出て博士号まで取得したのであれば高給取りになると思っているようだが,年齢も年齢だし職種も職種なので,それは限りなく難しいだろうと思っている。

ただ「だから研究をやめます」とは言いたくない自分がいる。

この場合の研究を何と定義するかにもよるけれども,自分の知りたいことはまだひとつも探索できていないような気がする。

1つのアカデミックポストを得るための血の滲むような競争に挑むことも,研究資金を得るための熾烈な努力をすることもできない立場だけれど,地味にこつこつ何かをすることができるのではないかという希望的観測。

他者に説明するときは「専門はポジティブ心理学で,人が幸福感を感じるためにどういうふうにポジティブな考え方をするか調べています」と,簡単に紹介しているが,元来私はネガティブな人間で(楽観性研究者のSegerstromも自分は悲観的と書いてたなぁ…)ポジティブになりたいからそういうことを研究対象にしたということは,ある。

ただ,何がポジティブで何がネガティブかはそれほど単純にすぱっと分かれるわけではないとも,「ちゃんとした研究計画書」を書いているときにはそう思う。あと,考え方ネガティブでも生きていればそれはそれでOKだとも思う。

一応,博士号を取得した人間として(そしてそのための研究にお国のお金も使わせてもらった人間として),結果を何らかのかたちで社会に還元したいとは思うけれど,それはできていない。

バントでもいいからつないでいって,データをとらない(とれない)としても研究は続けていきたいと思う。そして研究書になるか一般書になるかわからないけれど本を出したいなというのが目標ではある。

というわけで今年は健康心理学会,社会心理学会,パーソナリティ心理学会の3つの学会大会に参加します(一応どれでも発表はするが…あまり結果は…)

研究者の人とも研究者でない人ともつながりたい,交流したい,交流を深めていろいろなことを知りたい,いろいろな生き方の形があることを知りたいというのが私の研究のモチベーションです。