夏の夜

季節に関するお題になると,幼い頃の思い出がよみがえるのはなぜかなぁ…。

ということで,夏の夜は月がいいねぇとか蛍がいいねぇとかいうのはすっ飛ばして,勝手に小さい頃の思い出を書いてしまう。

父はたいてい仕事から帰るのが遅かったのだが,夏は比較的早く帰ってくることが多かった。歳をとって地位が上がっていくとそういう頻度も減っていったが,それでも,19時前に帰ってくるとかいう日は夏が一番多かった気がする。

晩ごはんはたいてい家族で食べていたが,父の帰りが早いのはやはり嬉しかった。自動的に晩ごはんの時間も早くなり,まだ少し明るさの残る中,みんなで晩御飯を食べたものだった。夏は素麺が多かったなぁ。あと夏野菜がいっぱいとれるので,きゅうりやなす,トマトなど。父は焼き茄子が好きである。

食事のあとは何をするでもなく,テレビを見たり,一家団欒したり。うーむ,風情とは程遠いが,家族一緒の時間がもてるのは嬉しかった。

たまに,散歩に行って遠方の花火大会がかすかに見えるのを見たり。

それから,地域の夏祭りの夜はやはり特別だった。父も母も自治会その他の役員をしていることが多かったので,あまり大きな声では言えないが,おまけで余った金魚を持って帰ってきてくれたり。

夏祭りの日の夜,ビデオデッキ(時代的にVHSだが)の時計が「0:00」となっているのを見た時の,うわぁ,日がかわるまで私起きてるんだ!というある種感動に似た心地は忘れられない。夜更かししても明日学校はないというのは良かったなぁ。

あれから,ずいぶん長い年月が過ぎた。結婚して実家を離れた私だが,今でも困った時には父に頼っている。特に我が子は私の父が大好きで,2歳ごろには軽トラックを見て「じじ」と言うほどじぃじが好きである(いつも父が軽トラックに乗っているので「軽トラック=じぃじ」)。

私が結婚して家を離れた日(結婚前はずっと家族と同居していた),父がいつになく一番元気がなかった,とのちに母に聞いた。胸が熱くなった。

お父さんありがとう(お母さんにもありがとう)。