子どもの幸福とは

bookstand.webdoku.jp数年前,世界の13か国を対象に,幸福感の国際比較調査を行い検討するチームの一員となり分析の一部を担当したことがある(これは,若者,中年,老人を対象としたインターネット調査であったが)。その時に,何をもって幸福と考えるかということは国によってそれぞれだなぁ,単一の尺度では捉えきれないものがあるなぁ,国々の事情もあるし…という素朴な印象をもった。

というわけで,オランダがユニセフの「先進国における子どもの幸福度調査」で1位であったからと言って,「日本はこのままではだめだ! オランダのように変わらなければならない!」とは思わない。

だいたい「そんな子育てを現実のものにしているのは、本質に従って物事を考えるシンプルで質素なオランダ人気質であり、パートタイマーという働き方を積極的に取り入れた仕事と生活のバランスの取れた暮らしであると筆者たちは語ります。オランダ人の週平均就業時間は29時間で、子どもと過ごす時間が充分にあり、父親と母親は家事や育児を分担して行っています」(記事一部引用),という状態に日本が今すぐなれるとは思わない。…もちろん多様な働き方,生き方があるということが徐々に認識されてきて実行している人々もいるが,だいたいの日本の会社は,定時なんてあってないようなもので,私の知人友人も子どもをもっているが,両親とも残業残業で実家の援助がないと保育所の迎えにも間に合わないという状態があったりする。…おかしいのだが。(ちなみにその知人友人は,休日や帰宅後は家事も適当にして子どもと関わる時間を大切にしているとのこと)。

働き方はそうだが,下記の部分は日本でも見習えると思う

「オランダ文化の根本には、子育てを生活の中心に置く家庭的な人々の考えがある。オランダの親は自分の子どもを所有物としではなく、1人の人間として見ており(中略)目標を達成する事だけが必ずしも子どもの幸せにつながるとも考えない。親と子どもの両方が幸せであることではじめて自分の力を高め、成功することができるという事をきちんとわかっている」(本書より)

”自分の子どもは自分の所要物でない1人の人間”

”目標を達成することが子どもの幸せにつながるとも考えない”

”親と子どもの両方が幸せであることで成功できる”

ほほぉ…。

「大人が危険を取り除くのではなく、自分で危険に対処できる子どもを育てれば、子どもの独立心が育ち、自然と自立していくというわけです。」(記事より)

うんうんうん。

この記事とは関係なく,最近,私は優先順位の1位を自分として,子どもの幸せは子ども自身に見つけてもらって,自分は自分の幸せ・好きなことをすることに邁進しようと思っている。

子どもが大きくなって「あなたがいたからお母さんは好きだった研究をあきらめたのよ」とは言いたくないので,もちろん子育てはするけれど,研究・教育の道はあきらめたくない。

私は幼稚園の年中組から幼稚園に入ったので,振り返ると当時の記憶はちゃんとあるし,そのとき考えていたこともおぼろげであるが覚えている。と考えると,いま保育所の年中組である息子も,それなりにいろいろ考え感じているということで,まぁ,ある程度自主性にまかせていても大丈夫かなと思う(つい最近まで,危ない危ないと思ってどこに行くにもついてまわっていたし,危ないもの・ことは回避させていたけれど)。

それにしても

「オランダの人たちは、子どもに寛容だし、お節介なくらいに親切なので、子育てをしやすいという実感はあります。でもオランダであれ日本であれ、両親が幸せでいつも笑顔であれば、それだけで子どもは幸せなはず。日本のママ・パパも肩の力を抜いて前向きに子育てをしてください」(記事中の翻訳者のコメント)

日本の親(特に母親)について回る”いい母でなければならないというプレッシャー”はどこからくるのだろうと時々思う。それから脱却している人もいると思うけれど,少なくとも私はまだそれに苦しんでいる。育児本や育児ブログが流行っているからかな。実親や夫に子育てを監視されている気がする(気がするだけで思い違いかもしれない)からかな…。

だいたい”いい母”って何だよぉ,私。←”自分の好きなことを追求する”と宣言しておきながら迷う母親がここにひとり。